幸せなんかじゃ、ない! | お姉さんのナイショ話。

幸せなんかじゃ、ない!

雲


LA3日目の朝は、もう帰らなくてはいけない日。


支度を済ませて、ホテルをチェックアウト。


そして空港へ向かう。


お別れの時が刻一刻と近づいてきた。


夢のような、逃避行はもう終わり。


明日から現実の世界に戻らなくてはいけない。


朝起きて、仕事に行って


そして、一人ぼっちの部屋に帰る。


そんな毎日に、また戻らなくちゃ。




彼は、『また会おうね』と言った。


そして、こうも言った。


『お別れなんかじゃないよ、始まりなんだから』




始まり?・・・・・だなんて?


意味わかんないよー。



でも私は、彼に何も聞くことができなかった。


始まりってのは、私達の付き合いがこれからもずっと続くということ?


だけど、これは不倫なんだよ?私はどうなるの?


そんな事、とても聞けなかった。




そして、そんな気持ちとは裏腹に、


私は、昨日までと全く変わらない笑顔で、


「うん、また会おうね」って答えた。


別れ際に泣いちゃうんじゃないかと心配してたけど、


昨日、ユニバーサルスタジオで泣いたせいなのか、


涙は出なかった。


それに彼の言うとおり、「また、会える」って


思えたから。


笑顔で、彼と別れることができた。


最後に彼は、私を抱きしめて、キスしてくれた。


そして、私の姿が見えなくなるまで、


ずっと、ずっと私の事を見送ってくれていた。



さあ、帰らなきゃ・・・



帰りの飛行機の中、


機内食の時間が終わって暗くなってから・・・・



私は、泣いた。


声を上げて泣いた。


飛行機のゴーっていう音が、


私の泣き声をかき消してくれた。


誰にもわからない様に、ひっそりと・・・・


ただただ、泣き続けた。